土を育てる農業

2023.10.21(土)晴れ、最高温度23度、最低温度15度

肥料を使わない自然栽培農業―野菜を育てるより先に土を育てろ!―PART1.

自然栽培と言う概念は近代農業(化学肥料)や有機農業(畜糞主体の有機肥料)のアンチテーゼとして提唱されてきたものです。
(自然回帰への情緒的な思いと肥料主体の農業への弊害を除くと言った理念)
消費者の皆様には自然農と呼んだ方が分かり易いかもしれません。

多くの消費者が誤解していたり、あいまいな概念の世界である自然農(持ち込まない・持ち出さない)は長い農業の歴史の中では存在しておりません。
「これは採れても採れなくとも良い」自給自足の家庭菜園でのお話です。
それでは農産物によって生活している農家にとっては生きていけませんから現実味の無い農業となります。
ここでは自然農では無く、自然栽培について話を進めます。

自然栽培とは、日本の先人達が行ってきた農業に近い農法の事です。
むかしの農業は肥料と言える物は人糞くらいのものでした。畜糞も無く、まして化学肥料など有りません。
草・葉っぱ・柴などに人糞を掛けて1年以上熟らせてから堆肥(元肥)として土を育てていました。それに人糞に草藁を加えて熟らせて追肥として使っていました。
日本の先人達は何代も掛けて土作り(肥沃な畑を)を行ってきたのです。

由布市庄内地区、グループの田北さんの圃場(4反)にスタッフも含めて総勢7人で、草屋堆肥を降っている処。
バックには庄内の里山風景が広がる。共同作業がグループを支えている。
ここには11月収穫の大豆の種を蒔く。無添加発酵味噌や黄な粉の原料です。
当然に除草剤・農薬・化学肥料は使いません。課題は生い茂る雑草除去の作業です。

 

日本古来からの農業を参考にしてむかし野菜では機械を駆使して剪定枝を破砕し、草を集め、発酵促進に放牧牛の糞(その飼料は草です)を少量加えて発酵させて
草木堆肥を元肥として使っています。その農法はむかしの農法に近く、新しい農法とも言えます。
穀類畑も含めると3ヘクタールに拡がり、その畑全ての土作りのためには月に二回は草木堆肥を作らねばなりません。
原料を細かく裁断し、およそ1ヶ月半と言う短い期間で草木堆肥を作り続けています。むかしは一年以上掛かっていました。

 むかし野菜と言えるものは、最低でも3年間この草木堆肥によって土を育てた畑から生産された農産物を指します。
(年間に4回施肥し、3年間で12回は草木堆肥を土に施しています)
20年も経過した畑の土は粒々の砂状になり、団粒構造化しプラチナ級の肥沃な畑となっています。

これは草木堆肥歴21年の2番の畑です。何を育てても良く出来、かつグループ内では一番美味しい野菜が多く採れます。
雨が降った翌々日にはキノコが芽を出します。
古人は言っています。キノコが出る畑は最高の畑であると・・・

※団粒構造の土
 団粒化した土の中に酸素・水・肥料分が蓄えられ、野菜の根は呼吸し易い状態になりますから 鬚根が発達し、土の栄養価(ミネラル・リン酸・カリウムなど)を掴み取ります。

野菜は美味しいだけでは無く、化学肥料を使った畑の1.5倍以上の収量が得られます。自然栽培は収量が少ないと言う定説を覆しました。
化学物質は含まれて居らず、微生物・菌類・小虫小動物などの自然循環する持続可能な健全な土となっていきます。