露地栽培野菜の衰退― 草木堆肥とミネラル分及び菌類・微生物との関係

2023.12.19(火)雨、最高温度7度、最低温度2度

 

(草木堆肥による土中のミネラル分及び菌類・微生物との相関関係)

地表面、特に農地は農産物の収穫によってミネラル分が持ち出され続け、慢性的なミネラル不足になっています。
その補給はわずかな雨(極く微量なミネラル分)によってしかもたらされません。

私は常に不足するミネラル分を畑に補給するにはどうしたら良いのか、考えました。
日本の先人達は林から大量の柴を切り出し、1~2年を掛けて土や草や少量の人糞に混ぜて堆肥を作っていたことに着目しました。

木は地中深く根を張り、地殻に存在する豊富なミネラル分を吸収しています。
その多様なミネラル分を吸収した枝や葉っぱを主原料としたのが草木堆肥です。
捨て場所に困っている造園会社にお願いして、当農園の堆肥場に運んでくれるように頼みました。
その剪定枝を中型破砕機で破砕して堆肥の主原料とします。

さらに太い木や破砕機に掛かり難い短い枝は燃やして焼き灰を作り、草木堆肥と一緒に畑に振ることにしました。
草木堆肥と焼き灰のダブルで圃場にバランスの良いミネラル分を圃場に補給し続けます。

焼き灰を振って「枯れ木に花を咲かせましょう」と言う花咲かじいさんの逸話は実は本当のことだったのです。

さらに重要なことは、枝や葉っぱには様々な菌類・微生物が棲んでおり、草・木・葉っぱを使った草木堆肥によって、
すでに畑に棲んでいる土着菌と合わせて計測不能な雑多な菌類が投入されることになります。
完熟一歩手前の草木堆肥(有機物残渣が残る)を食料にして彼らは畑でさらに増殖していきます。つまりは畑を耕してくれます。

そのことによって圃場の土は自然循環の再生浄化機能が果たされることになるのです。

これが生きた土です。

「永年除草剤と化学肥料そして農薬を使用してきたA畑」と「10年ほど放置されてきた雑草に覆われているB畑」を借り受けて
草木堆肥によって土作りを同時に始めたことがありました。

Aの畑では除草作業の労力は少なくて済みましたが、2年間は種を蒔いて発芽しても野菜が中々生長してくれません。
化学肥料を投下していたので窒素分は多く残っていたはずです。

Bの畑では低窒素である草木堆肥歴1年目でもそこそこに野菜の収穫が出来ました。
ただ、草の種子が多く残っており除草作業は大変でした。2年目も野菜は順調に育ち、何より味香りはしっかりと出ていて、美味しかったです。

何故こんな違いが出たのでしょうか?

それは地力の差と言うしかありません。

Aの畑は継続して使用し続けた除草剤・化学肥料・農薬(慣行農業)によって土中の微生物等が死滅していたため、
地力が低下し、低窒素である草木堆肥を数回程度施肥しても野菜が育たなかったのです。

つまりは死んだ土になっていたのです。

半ば強制的に窒素肥料(化学肥料)によって野菜を成長させ、ミネラル分は常に持ち出されてきました。

ちなみに3年目にしてようやく葉野菜の収穫はできました。土中の微生物が復活したのですね。

ただ、数年間は野菜の出来は良くありませんでした。

Bの畑は長年放置されてきたために雑草が深く根を張り菌類・微生物は自然の秩序を保ち、ウィルス・菌類・微生物層ができており
草と共生していました。そのため、自然循環農業にすんなりと移行してくれたのです。

微生物等は多量のミネラル分と窒素を吸収し増殖します。ミネラル分の少ない圃場では微生物は繁殖し難いのです。
ミネラル分と微生物等とは相関関係があり、草木堆肥は土を育ててくれるのです。

野菜も微生物達も人間も同じく生命体です。その生命体の細胞増殖を持続的に促し続けてくれるのに不可欠なものがミネラル分なのです。

Aの畑は微生物層が死滅していたためにミネラル分豊富な草木堆肥を施肥しても中々、微生物の増殖が見られなかったのです。
Bの畑はその真逆なのです。
Aの畑はその後、年に4回草木堆肥を入れ続けたために8年目には根を深く張る根菜類の畑に成長してくれました。
正しく草木堆肥と微生物たちのおかげでした。

つまりは、人間もミネラル分が不足している野菜をいくら食べても正常に細胞分裂をしてくれません。
異常な細胞が増えるということは癌などの現代病に犯されやすいことになりますね。

園芸会社から持ち込まれた雑多な剪定枝を破砕している処、この後、さらに小さな小枝と葉っぱを手で仕分けし
剪定木屑と葉っぱの山を築く。この中に計測不能な菌類や微生物が棲んでおり、草木堆肥の主原料となる。
同時に雑多な種類の木には地中の奥深くから吸い上げたバランスの良いミネラル分が含まれている。